旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
「この後仕事が立て込んでいるんだ。できれば六時頃にお願いしたい」

 部署によって多少のばらつきはあるが、工房で働く職人たちの勤務時間は九時から十七時半まで。そして、基本的に残業はしない。

 佳奈さんをチラリと見る。佳奈さんも私を見て、それから顎に手を当てて「うーん」と唸った。

「私、今日は用事が入ってるの」

 佳奈さんの、断ることを前提にした口振りに唖然とした。

 そんな言い方していいの!?

「そうか」

 それに対して宝来部長は何故か納得した様子で頷く。そのことにも驚いていたら、更に驚愕する言葉が続けられた。

「香澄だけじゃダメ?」

「いいよ」

 ええ!?

 立場が上のふたりに反論することもできなくて、私は口をあんぐりと開けたまま固まってしまう。
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