旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 ゲートの前にコインロッカーがあったので、荷物は無事に預けることができた。

 これでやっと香澄の気も楽になっただろう。

 日没による気温の変化が、自然と俺たちの距離間を失くしてくれる。寒さで震えるなか、互いの体温を求めてぴたりと身体を寄せ合う。

 ムードがそうさせているのか香澄もいつもより大胆だ。

 園内のレストランで軽く夕食を済ませた後、手を繋ごうとした俺の腕に身体をすり寄せてきた。

 甘えるような仕草に、イルミネーションなど見ずにホテルに連れ去りたくなる。

「綺麗ですね」と、うっとりとした視線を無数の電飾に向けているのを見て、そんなのいいから俺を見てくれと思ったくらいには、俺は色惚けしている。

「香澄」

 呼びかけに反応して俺を見上げた顔に軽くキスを落とす。

「なっ……! なにしているんですか!?」

 触れられた頬を手で押さえて、目をまん丸にした香澄が叫んだ。

「したかったから」

「だからって……!」

 目をあちこちに泳がす香澄の視線を俺に集中させたくて、頬を両手で包み込む。

「ひゃっ」

 また俺になにかされると、警戒して肩を跳ねさせた香澄の予測は当たっている。

 先程よりも深く優しいキスをする。周りのことなんてどうでもよくなるくらいの、とびきり甘いキス。
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