旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
コーヒーが入ったマグカップを持って、叔母さんが向かいの席に腰を下ろす。
窯番をする叔父さんの仕事はとにかく大変で、一時間に一度は温度のチェックをしなければならないので、仮眠を取ることすらままならない。
「叔父さんはいつ寝たの?」
「うーん。三時とか四時とか? 物音で起こされたけど、寝惚けていたからはっきり覚えてないなぁ」
五十代前半のふたりは、いまでも寝室を共にしているくらい仲がいい。
「なんにせよ、窯起こしは昼過ぎになるんじゃない?」
「分かった」
窯の焼成に最低でも六時間はかかり、スイッチを切った後、窯出しできる温度まで冷ますのに十時間以上を要する。きちんと温度が下がっていない時に器を取り出すと、ヒビが入ってしまうのだ。
陶芸は最初から最後まで工程が繊細で大変だが、だからこそやりがいがあって楽しい。