旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~


 食事を済ませ、工場へ移動して三人で窯を起こしていると、不意に叔父さんの携帯電話が鳴った。

 ディスプレイを見た叔父さんは、私の顔を見ながら電話に出る。

 もしかして、と思い、持ち上げかけていた棚板を戻す。

「はい。加藤(かとう)です。――ああ、はい。そうですね。え? 明日ですか?」

 お見合い関係の電話かと思ったけど、違うのかな。

 興味をなくして作業を再開したところで、叔父さんに「香澄」と呼ばれた。

「なに?」

「明日は空いているか?」

 聞かなくても、私の予定が埋まることなんてないって知っているはずだろうに。叔父さんは真面目だ。

「空いているけど?」

 だからなに? と続く言葉はさすがに出さず、不審の目を向けた。叔母さんも同じような視線をじっとりと送っている。
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