旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
……やっぱりカッコいい。
心臓がバクバクと、口から飛び出しそうなほど脈打っている。
まだ一言も交わしてないのに頭がくらくらしてきた。
いろいろな感情が駆け巡り、卒倒しそうになっている身体に思い出したように酸素を送り込む。
大袈裟なくらい大きな深呼吸をした私を見て、宝来部長は柔らかに微笑んだ。
ドキリとした私を射抜くように見つめ、彼は形の綺麗な唇を開く。
「その反応は、もしかしてだけど、相手が俺って知らなかった?」
「……はい。すみません」
「そっか。ちょっとショックだなぁ」
なにがショック?
つい、訝しい目を向けてしまう。
先に挨拶を交わしていた宝来部長のご両親と叔父と叔母は、私たちの会話を耳にした途端一斉にこちらに顔を向けた。
「なんだ、知り合いだったのか」
叔父の言葉に、宝来部長のお父さん……すなわち、宝来陶苑の社長が苦笑する。
「私も詳しくは聞かされていないけど、どうやら息子の一目惚れらしい」
ありえない言葉に身体が凍ったように固まる。