旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~
そう思うのと同時に、両家を巻き込んでまでこの場を設けてくれた誠実さを信頼してもいいんじゃないかと、もうひとりの自分が言っている。
分からない。どうしたらいいのか、さっぱり分からない。
会話が途切れ沈黙が落ちるなか、宝来部長はいきなり私の手を大きな両手で包み込んだ。
突然のことに心臓がビクッと跳ねる。
宝来部長はとても真剣な目をしていて、そのせいで鼓動はどんどん加速していく。
よくもまあ簡単に異性の手に触れられるなぁ。
この容姿だもん。絶対に経験豊富だよね。
少しでも心を落ち着かせようと、わざとらしく心の中で悪態をつく。そんなことをしても、彼へのときめきは誤魔化せないのだけれど。
「すぐには無理だろうけど、少しずつ俺のことを知って、好きになってもらいたい。だから、相手が俺だと知っても、このままお見合いを続行してほしい」
誠意が伝わる声色と表情だった。