旦那様は溺愛至上主義～一途な御曹司に愛でられてます～

「こんなこと佳奈や遼平に知られたら、いい笑い者にされるな」

　宝来部長はいたずらっ子のような笑みを浮かべ、口元に人差し指を立てて言う。

「だから、内緒にしておいて」

　無邪気な姿に胸がきゅっとしめつけられる。

　カッコいいんだか、可愛いんだか……。とにかく表情豊かな人だ。

「分かりました。内緒ですね」

　つられて笑ってしまう。

　私が笑ったのを見て、宝来部長はとても嬉しそうに顔をほころばせた。

　絶対に裏があると思っていたけれど、どうやら疑う余地などなさそうだ。

　自分に自信があって、心に余裕があるからこそ融和をはかることができるのだろう。常に壁を築き上げることばかり考えている私にとって、一番危険な人物。

　それなのに、もっと彼のことを知りたいと思ってしまう。

　こんな感情を抱いたって、後で困るだけなのに。