旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~

 車は幸泉陶器がある田舎から繁華街へと向かっていく。大通りから少し入った閑静な街並みの中に佇む一軒家のレストランに到着すると、先に車から降りた成暁さんが助手席のドアを開け、手を差し出してくれた。

「ありがとうございます」

 委縮して強張った手を重ねると、優しい温もりがそっと包んでくれる。そういえば男の人の方が、体温が高いって聞いたことがある。

 大きくて、頼もしい手だ。

 改めて成暁さんが大人の男性なのだと意識する。

 あー……どうしよう。今になって緊張してきちゃった……。

 店内は薄暗く、内装も黒色や赤色を基調としていて大人な雰囲気が漂っている。聞けば、barとしても利用されているらしい。

 ゆったりとした四人掛けのテーブルに案内されて向かい合わせに座る。

 嫌いなものはなく、美味しいものならなんでも好きだと伝えると、成暁さんは和牛ステーキをはじめ、牡蠣や海老といった海の幸をどんどん注文する。

 聞いているだけでよだれが出てきそう。
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