一期一会
初めて電話で話すけれど、変な感じ……。

顔は見えないのに、凄くドキドキする……。

受話器のせいかな?
中原君の声がいつもより近くから聞こえているような気がする。

受話器を持つ手が汗ばんでいる。


私達は他愛もない話をした。

今日のテレビ何見た?とか、
先生は誰が好きとか、嫌いとか。


『誕生日、もうすぐだな』

「うん……」

『行きたいところある?』

私の誕生日は平日なので学校が終わるのが十五時だ。

「特に無いよ…っていうか!」

『ん?』

「中原君、部活あるじゃん!」


今更、彼の部活があることに気付く。


『一日くらい休んだってどうってことない』

「えぇ!」

『もう休むから。決定事項だから。はい。この話は終わり』

彼はそう言ってくれたが申し訳ない気持ちになってきた。
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