一期一会
『西野は自転車だし、学校周辺で夕方までどっか行くか』

「うん…わかった」

『どこ行くかはお楽しみ』

「うん…楽しみにしとく」


何で私の誕生日の日に私を誘ってくれたんだろう。

私が誕生日だからただ祝ってあげたいって思っただけ?

でも二人きりで出掛けるんだよね?

それは友人として?

それとも……


心が忙しく動いている。


でもその葛藤を口に出せない意気地なしの私……。


『もう十時か。そろそろ、切るか』

中原君と話していたらいつの間にか一時間も経っていたようだ。

「そうだね」

『西野はもうお風呂入った?』

「うん。中原君は?」

『俺はまだ。今から入る』

「そっか、いってらっしゃい」

『あぁ。今度は俺も風呂入ってから電話する』
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