一期一会
手慣れた手付きで文字を書いていく。


『5/20 誕生日おめでと』


その文字にまた心が温かくなった。


「はい。西野の分」


数分後、中原君は機械から出てきたプリクラを鋏で切り取ると私の分のプリクラを渡してくれた。


……一つ目の私の顔、酷い。

でも中原君は全部格好良い……。

このプリクラ、誰にもあげられないな。

だって成実ちゃんにあげたら絶対弄ばれる。
かといって、紘子ちゃんだけにあげるのも変だし。


そうだ。
こっそりお財布に入れて、お守りにしよう。


「あとこれ」

「え?」

プリクラを眺めていたら中原君の声が聞こえて、顔を上げると彼の手には数枚のプリクラ。

「さっき言ってたアツヒロに付き合わされてる分」

「貰って良いの?ありがとう……」


これも財布に入れておこうかな。

アツヒロくんは邪魔だけど。
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