一期一会
「やっぱり皆同じこと考えるね」

「そうだな」

店内は私達の高校の制服だらけだ。

今は放課後。
中原君に誘われて、高校の最寄り駅前のドーナツ店で彼とテスト勉強をすることになった。


私達は飲み物だけ買い、向かい合って座るとテスト勉強開始。

だがかなりの時間、英語の教科書を眺めていたら、ワケが分からなくなってきた。

英語はホントに苦手。
私は文を訳すのが苦手なので、いつも単語と文章を丸暗記している。

しかもさ、授業だけでペラペラになれる人なんていないし、先生だってまともに話せないから、臨時の外国人講師とかたまに呼んだりしているわけじゃん?
日本に居るんだから日本語だけで充分じゃんって思うよ……。

英語の授業を作った人を恨めしく思いながらもう一度教科書に向かい合う。


「……西野、ヘルプ」

そこに目の前から助けを求める声が。


「どうしたの?」

「この問題、全然わかんねー。西野、分かる?」

中原君は数学をやっていた。
数学は得意だから教えてあげられると安堵して、向けられた問題を見る。

「んーと、これはー、この数式を当てはめると……」

私は教科書を貰って説明をする。


「……逆向きだと分かりづらいな」

だが中原君は眉間に皺を寄せる。

「あ。ごめん」

向かい合っているので私が教科書を貰うと反対向きになっちゃうもんね。
< 158 / 302 >

この作品をシェア

pagetop