一期一会
「そこ、イチャつくな!集中できん!」

突然アツヒロ君が横槍を入れてきた。


「……イチャついてませんから。それに文句言うなら、ノート返して貰おうかしら?」

睨むようにアツヒロ君を見る。

「……すいませんでした」

そう言いながらアツヒロ君はノートに視線を戻した。

アツヒロ君と私のやり取りを見た中原君はまた笑っていた。


これって、友達として、誘われたの……?
それとも……






「センセー、席替えしたいでーす」

その日のホームルーム、一番前の席のアツヒロ君が突然手を挙げて発言した。

「須藤君はホームルームで発言出来るなら、授業でもしましょうか」

先生の返答にドッと笑いが起きる。

「せんせーい。私もしたいでーす」

その中でギャルの女子もアツヒロ君に賛同する。

「そうですね。まだしてないですからね。では席替えしましょうか」

そう言うと先生はくじを作り始めた。


成実ちゃんと仲良くなれたのに離れちゃったら嫌だな……。
紘子ちゃんも近い方だから離れたくないな……。

あと楠木さん。
彼女の近くの席には絶対になりたくない……。

あとは中原君。

今は遠いから、彼と近くの席になりたいな……。

近くになったら、もっと話せるかな……。
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