一期一会
「もうすぐ帰りの時間だから部屋に戻って準備した方が良いんじゃない?」

「……」

「ん?何か俺の顔についてる?」

「あ……」


無意識のうちに彼の顔を凝視していた私。
慌てて視線を逸らした。


「中原君、友達待ってない?私も丁度部屋に戻ろうと思ってたところだから」

彼に怪しまれないように無理矢理笑顔を貼り付けて彼が走ってきた輪の中を指差した。


「……そっか」

何か言いたげな顔をしていたが、待たせていた友達に名前を呼ばれた中原君は私に「じゃあな」と一声かけると友達の方へと戻っていった。


私は離れていく中原君の後姿をじっと見つめていた。


身長は一八〇センチ位あるかな。

周りにいる男の子たちの中で一番高い。

脚もスラッとして長いし、身体も細身で。

ダサい学校のジャージを着ていても何故か様になっている。

髪は少し茶色掛かっていて、肌は健康的に焼けている。

顔なんて綺麗な奥二重で鼻もスラっとして唇の形も綺麗。


思わず見惚れてしまったほど……
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