一期一会
新しい教科書、自己紹介、部活の勧誘会など、新生活を忙しく感じていた。

中原君は先日話をしてくれた通り、サッカー部に入部したようだ。
朝練があるみたいでかったるいと言っていた。
どうやら朝は苦手みたい。




それからあっという間に合宿の日。

未だに友達と呼べる女の子は出来なかったけれど、まだ私のように一人でいる子もいたので、この合宿で一緒に過ごせれば仲良くなれるんじゃないかって思っていた。


だけど合宿二日目の朝の最後の自由時間、私は未だに友達が出来ず一人で自販機の前のソファーに座っていた。


バスの隣の席の子、昨日寝る時に両隣になった子達、私なりに頑張って話しかけたつもりだ。

『どこの中学だった？』とか、『部活入ったりするの？』とか、当たり障りの無いことを。

答えは返ってきたけれど何か違和感を感じた。


それに、あの視線……

この感じは――――「西野！」


一人で考え込んでいたら聞き覚えのある声が聞こえて反射的に声のした方へ顔を向ける。


「まだ一人なのか？」

「中原君……」


彼がソファーに座っている私に向かって駆け寄ってきた。
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