一期一会
コンビニでアツヒロ君に貰ったお金で沢山お菓子を買った。
中原君が。


「あれだけ西野に勉強教えて貰ってるんだからアイツは文句は言えない。それに疲れた脳には糖分なんだろ?」

だそうだ。


教室に戻ったらアツヒロ君がすぐに私を呼んだ。
他の皆もお菓子を食べつつも勉強再開。
私も糖分を補給しつつ頑張った。

それから一時間程勉強して、今日の勉強会は解散となった。




そして次の日の朝。

「おはようございます。今日も宜しくお願い致します、西野先生」

アツヒロ君はまた早く登校していたのだが、私はいつから貴方の先生になったんでしょうか……?

昨日にも増して大人しいし、それにとっても気持ちが悪い。


「今日もやるんだね」

ノートが新品状態のアツヒロ君だから今日もやるのか疑問だったが、どうやらやるようだ。

「勿論でございます。今お時間宜しいですか?お暇でしたらこの問題を教えて戴けないでしょうか」

敬語を使えることに驚き。

「大丈夫だよ。ここはね……」

真剣に取り組んでいるので、解りやすいように丁寧に教えた。




「あのアツヒロが勉強してると皆も焦り出して勉強し出したな」

放課後、中原君が教室を見渡して呟いた。

アツヒロ君は今日も一日ずっと真面目に勉強していた。
その様子をずっと見ていたクラスメイトも触発されたかのように勉強し出していた。
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