一期一会
「今日は人が多いね」

放課後の勉強会はアツヒロ君のせいか昨日より人がいる。

今日もあの二人は来るんだろうな……。
そう思い、辺りを見渡すが昨日居た佳苗ちゃんと潮田さんが居ない。


あれ?今日は都合が悪いのかな?

そんなことを考えながらも、ホッと胸を撫で下ろす。

正直安心した。
自分には関係無いと言えど、やっぱり気になるから。


あ~……私って嫌な女……。




私達はテスト週間中、ずっと勉強会をした。

でもあの二人は最後まで来なかった。




「西野先生!赤点余裕で免れました!」

アツヒロ君は返ってきた答案を私に見せて喜んでいる。

「おめでとう。あんだけ頑張ったんだもん」


こんなアツヒロ君の姿を見ていたら、成実ちゃんのことであんなにムカついていたのに何故か微笑ましくなってきた。
これが中原君の言っていた『なんか放っとけない』ってやつなんだろうか。

しかもアツヒロ君に触発されたせいか、私達のクラスの平均点は良かった。
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