一期一会
そしてこの音を出しているのは、さっき微笑ましく思えた目の前のこの男。


赤点免れた瞬間、逆戻りかいっ!
折角見直してあげたのに!

やっぱりただのアホだわ。




「さっきの授業中、アツヒロすっごいイビキだったね」

「うん。アイツのせいで先生の声聞き取りにくかった」

「あははっ!」


今は体育の授業。
今日はバスケット。
最近、佳苗ちゃんと同じチームによくなる。


「佳苗ちゃんはテストどうだった?初めに勉強会出たっきりだったけど」

「ギリギリセーフだった。ヒヤヒヤしたよ~」

彼女はフーッと汗を拭く仕草をしながら言った。

「それは危なかったね」

「あっそういえば聞いてよ。テストも無事終わったから今日合コンやるんだ~」

佳苗ちゃんは今度はパッと表情を明るくさせて言う。

「へぇ~。そうなんだ」


合コンなんて行ったことないし、行く気もない。
知らない人と話して盛り上がるなんて私には無理だし。

全く興味が湧かないワードだ。
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