一期一会
「聞いて驚かないでよ?ナカトモが幹事なんだよ」

「え?」


その言葉を聞いた瞬間、私は固まってしまった。


幹事って……主催者のことだよね……?


「勉強会の初日にナカトモと綾那が二人で一緒に帰ってったんだけど、ナカトモも綾那のこと気に入ったみたいなんだ。その後ウチら参加しなかったから話す機会無くなっちゃったでしょ?で、綾那と話したいから合コンやろうってさ」

「え?」


二人で帰った……?

気に入った……?

話したいから合コンをやる……?


情報が一気に入りすぎて頭が真っ白になった。


「聞いてない?」

佳苗ちゃんは笑顔で私に問い掛けた。


私は恋人なんかじゃない、ただの友人だ。

だからそんなことまで彼が私に話す必要はない。


「聞いてないよ。そうなんだ」


私は無理矢理笑顔を張り付けて答えた。
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