一期一会
11 二学期
今日から新学期。

久々の制服。


「やっとポロシャツ着るのね~」

「……」

「あれだけ着れば流石にセーラー飽きるわよね~」

朝から嫌みったらしく言ってきたのは私の母。


「一着ずつしかないんだからこれからは交互に着てよね。毎日洗濯させられたお母さんの身にもなってよ」

「わかりました、すいませんでした」


中原君に似合っていると言われて毎日着ていたセーラー。
でも今日からはポロを毎日着たい気分……。

だけどそんな事をしたらまたお母さんを怒らせちゃうからしないけれど。




学校に着くと皆夏休みの話題で盛り上がっていた。
日焼けしたり、髪型が変わってたり、皆それぞれの夏休みを満喫していたようだ。

私はというと七月に切った髪は面倒臭いので放置。
今は少し伸びてボブくらいの長さになっていた。


「おひさ、智也!」


成実ちゃんの前の席に居た私はアツヒロ君のその声に心臓が飛び跳ねるほど反応して、こっそりと目を向ける。
そこには中原君。
登校日は中原君をまともに見れなかったので、一ヶ月とちょっとぶりにちゃんと見た。
中原君は少し日焼けしていた。

部活で焼けたのかな?
それとも友達とかと出掛けて焼けたのかな?


「ーーって!ねぇ!瑞季聞いてた!?」

成実ちゃんの強い口調に顔を向けるとトリップしていたことに気付いた。


「あぁ、ごめん、聞いてなかった。もう一回言って?」

「もうっ!」




ホームルームのチャイムが鳴るまで中原君はやっぱり話し掛けてくれなかった。

当たり前か……。
私が話し掛けるなって言ったんだもん……。


でも久々に見た中原君に私の心臓はやっぱり速くなった。






「センセー、席替えしよー?」

ホームルームでアツヒロ君が突然先生に提案した。
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