一期一会
「入学してすぐ部活勧誘会あったじゃん」

「記憶に無い」

あの時は自分に余裕が無かったし。

「それに瑞季はそういうの無関心そうだもん」

紘子が言うと、

「あぁ。確かに」

成実が納得して頷いた。

「え?どういうこと?」

私は頭の上にはてなを浮かべる。


「顧問の先生がとにかくイケメンなのよ!」

成実が目を輝かせて言った。


「へぇ~」

私はどうでも良いと言わんばかりに返した。


「ホラ。瑞季はやっぱり興味ないよ」

「うん。どうでも良い」

「わかってないね!瑞季は!見てるだけで目と心が潤っちゃうよ!?皆写メ撮ってこっそり眺めてるくらいよ!?」


ナニソレ、ストーカー……?


「美術部見たい。とりあえず入ろうよ」

興奮した成実の話はいつも長くなる。
話が長くなりそうだったので私は教室に入るよう促した。


「良いよ!先生いるかもしれないし!」

成実は興奮しながら答える。

そんなイケメンなんですか。

一学年で十三組もあるので先生も沢山いる。
未だに名前や顔すら知らない先生もいたりする。
その先生もその中の一人のようだ。

教室に入ると中学の美術室の香りを思い出した。
壁にはカラフルに彩られた絵が沢山飾られていた。


「結構凄いね!」

私は沢山の絵に興奮した。
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