一期一会
13 色が消えた日
次の日の日曜。
私はいつも通りバイトをしていた。

明日のことを考えると緊張するが、期待の方が大きいかもしれない。

今よりも彼との関係はきっと良い方へ向いてくれるという期待。


彼には絶対フラれるけれど、想いを伝えられればそれで良い。

自己満足だけど。




ついに月曜日。

緊張のせいか朝早く目が覚めた。

鏡を覗くとそこに写っている私の髪は、彼が好きだと言ってくれた長さになっていた。

鏡の中の私が、私の心を押してくれた。


自転車を漕ぎ、肌に突き刺さる真冬の風を切りながら走る。

教室に入るとまだ早い時間なので誰も居なかった。

鞄を机に置いて窓際に駆け寄り、グラウンドを覗いた。
中原君を見るため。

テニス部、野球部。
でもサッカー部だけがいない。

……あれ?
サッカー部、今日は朝練休みかな?

朝練休みなら、中原君早く来るかもしれない。


ドキドキしながら彼を待っていると、一人、また一人とやってくる。

扉が開く度、確認するが中原君はまだ来ない。


あー、ドキドキする……。
心臓持つかな……。
< 284 / 302 >

この作品をシェア

pagetop