一期一会
「何があったか、話せる?」


私が落ち着いてきたのを見計らって、彼は私の前の席に腰を下ろした。
いつの間にか外は暗くなっていて、グラウンドの照明が教室内を僅かに照らしていた。


「……楠木さんが私を良く思っていなくて……。そのせいで、ちょっと撥ね付けられたというか…なんというか……。私が一人なのも、もしかしたら、楠木さんが…原因かもしれない……」

さっきまでは一人で我慢しようと考えていたのに、泣き顔を見られてしまったせいだろうか。
私は俯いたまま、辿々しくだが弱音を吐いた。


「どうして楠木は西野を良く思ってないの?」


『貴方がイケメンすぎて嫉妬を買っちゃいました』なんて、流石に本人には言えない。


「今日、俺の方を見なかったよな。それに放課も教室にいなかったみたいだし。それと関係ある?」

「……」


中原君を避けていたこと……気付いていたんだ……。


「俺には話したくない?」

「……」


私を凝視するような彼の視線を感じるが、私は無言で俯いたまま。

私が何も答えないからか、中原君から短めの溜め息が聞こえてきた。

それを聞いた私は急激に不安になり、益々俯いたままの顔を上げられなくなってしまった。
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