一期一会
私は机の上に残された小さな紙切れを慌てて掴むと、ブレザーのポケットに落とさないように仕舞って彼を追いかける。

誰もいない真っ暗な廊下を少し息を切らしながら走ると彼に追い付いた。


「明日、寝坊すんなよ?」

中原君は横に並んだ私に笑顔を向けると勝手に掴んだ鞄を差し向けた。


彼にとっては、いつも通りかもしれない。


夜の暗さと窓から入りこむ月明かりと、


外から流れ着いた人工的な光。


それが何とも言い表せないコントラストを生み出して。


背の高い彼の笑顔を綺麗に照らしていた。


その美しい光景に、私の胸の鼓動が少し速くなったような気がした。
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