異世界ピエロに恋した私。
俺の思考よりリグナの発言の方が一歩早かった。
そう、そこで踊っていたのは紛れもなくミリアだったのだ。
帽子を投げることが合図だったのか、ピアノが旋律を奏で始めたのだ。
演奏してるクリスに目をやると、やはりまだ緊張している様子だった。
それに気づいているのは俺だけかと思ったが、違ったようだ。

「...アイツ」

ミリアは踊りながらもクリスの方へ向かっていき、お互いが目を合わせる所に立つ。
そして、クリスに"落ち着いて""気を楽に"とでも言うように体を使って伝えた。
それが伝わったのか、彼女は深呼吸をし、再度ピアノを見た。
その時の目は先程とは違い、鋭くなっていた、まるで人まで変わってしまったかのように。
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