ずっと前から好きだから
「柊くんとなら似合いそうだけど」


「……っ」



突然出てきた、柊くんの名前にドキドキするのは言うまでもない。



「それ以上言ったら、口聞けなくすんぞ」



それまで、静かに応戦してた匠だったが、彼の逆鱗に触れたらしい。



「あたし達の目の前でキスでもしてくれたら、もう匠に近づかないって約束するわよ?」



先輩たちは、あたしたちが本当のカップルじゃないって信じてるんだ。
だから、こんな横暴なことを言い出す。
本当に付き合ってるとしても、人前でキスなんかできるはずがないのに、付き合ってないあたしたちはできるわけが……



「キスすれば今後一切近づかないって約束できるんですね?」



匠がすぐにでも断ると思っていた、あたしは慌てて隣の匠を見上げる。



「え、匠?」



まさか本当にするとか言ってるわけじゃないよね?
だって、あたし達……



「こっち向け」



グイッとあたしの腕を引っ張って自分に向き合わせる。



「た、匠!」


「ほら、その子できなそうだよ?やっぱり「なに、お前人前だからって恥ずかしがってんの?いつもしてることだろ?」

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