ようこそ、恋愛指南部へ!
「恋愛について、知りたいんだろ?
今日ここにお前が来たのも、偶然じゃない、必然だ。
今の自分を少しでも変えたいなら、変わりたいなら……俺の手を取れ、俺を信じろ」
黒く、真っ直ぐな瞳が私を見つめる。
さっきまでのふざけた空気とは違う、真剣な瞳。
先に目を逸らしたら、負けてしまう気がして。
「……そこまで言うなら、教えてよ」
「ん?」
「部長なんでしょ、恋愛指南部の。
私にも恋ってやつを……教えてよ」
正直、今の私は『恋』と『鯉』の違いですら分からないレベルなのかもしれない。
こんな失礼男に、頼むことになるなんて1ミリも思わなかった。
アホみたいに俺様で、馬鹿なのか賢いのかもよくわからないけど
だけど、言った言葉に嘘があるようには思えなかった。
ほんの一瞬の気の迷い。
信じてみようかな、なんて思うなんて。