100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ



「シカト?聞いてるんだから答えなさいよ」

腕組みをしてる美波が苛立ったように急かしてきた。


答えたくないことは押し黙る。都合の悪い質問には目を合わせない。一度も開いたことのない心の扉は相変わらずなのに、私はこういう時の対処法をいくつか知っている。


「なんでそんな派手な化粧するの?」

「は?」


相手の気持ちを逆撫ですることで簡単に話題は逸れる。

なにに対しても無関心なくせに、ズル賢さだけはしっかりと学んでるなんて、笑いたくても笑えない。


「家でいる素顔のほうがいいよ」

美波は周りの友達に合わせてる。濃い化粧も髪色もアクセサリーも、ぜんぶ。


「あんたのそういうところがムカつくのよ」

美波は怒って自分の部屋に上がっていった。


これでいい。好かれるより、嫌われていたほうがずっと楽。

なのにあいつは……。


〝寂しいとか苦しいとか具合悪いとか腹減ったとかなんでもいいから、なにかあったらすぐに連絡して!〟


約束なんてしない。

守れもしない約束なんて、絶対にしない。


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