略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
挨拶をして、俺は結の手を取った。

「天! ここ、まだ会社!」

結が焦る。

「いいじゃん、手ぐらい。」

「ダメ!」

結が下から睨んでくる。俺は、

「ケチ。」

と言って手を離した。すると、

「っ!
ケチって何よ!」

結が怒る。ところが、

「お前ら、気が散るから、痴話喧嘩は外で
やってくれ。」

と中橋さんに言われてしまった。

「すみません。」

結が謝る。

「くくっ」

痴話喧嘩。
この10ヶ月、したくてもできなかった。
結とだったら、喧嘩すら楽しい。

そんな事を思っていると、結は、俺を無視して、廊下に出てしまった。

俺は慌てて追いかける。
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