Adagio
「はい」
「じゃあ、会社を育てるっていうのはどういうことかな」

「人を、育てること」

「うん。これが初めのステップね。何当たり前のこと言ってるんだって思うだろうけど、とても大事なことなんだよ。この会社には色んな人がいるよね。今の話と絡めて、みんなに共通してることがひとつあるんだけど、わかる?」

 宇美の書いた達筆な字をじっと見つめながら、社員たちの顔を思い出す。

 学びの理解度、成長スピードは首藤と比べても同じではないことがよく分かる。仕事への情熱という部分に関してはどうだろう。それこそ差は歴然だった。

年齢の近い社員、たとえば華美と自分を比べても、まるで意識の高さが違うのだ。有紗は静かに、首を横に振った。

「ペースはそれぞれだけど、うちの会社は成長を楽しめる人たちの集まりだと思わない? 成長を楽しめる人っていうのは、どんなときでも人の言葉に、真摯に耳を傾けることができる、心が素直な人のことだよ」
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