Adagio
「なるほど。運営サポート課にいたときは時間管理が主でしたけど、ここではそれプラス業務交通費とか……別で領収書が届いてる予防接種費とかを足した全部の金額を確認するんですね。じゃあ、再査プラスこの出勤簿の手書きの部分を入力していく作業って感じですかね」

「そうです、さすがです」それ以上、有紗が説明することはない。

「いえいえ、そんな。フォーマット見れば、大体わかりますし。できるだけ手間は取らせないように頑張りますから。これなら私もすぐできそうなので、とりあえず全部やっちゃいますね。分からないところがあったら綿貫さんに声かけます」

「お願いします」
 復帰直後とは思えない威勢の良さに、有紗のほうが気後れしてしまいそうだった。

 操作方法など尋ねるまでもなく、出来てしまうのならそれに越したことはない。自分が苦労して覚えたことも、人によっては一目で分かるようなものでしかない、そういうことなのだ。

少し前まで見ていた虎の巻が出来の悪さの象徴のように思えてきたが、もちろんそれは首藤のせいではない。
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