Adagio
「これ、千葉第一と第二の分だけですよね。東京の分って終わってます?」
「東京はえーと……、第一から第三の分は終わってます。あとは――」

「あ、そっかそっか。提出の締めが別なんでしたよね、うっかりしてました。たしか、次は水曜着のに乗ってくるんでしたよね。埼玉の分とかって、千葉と一緒じゃありませんでしたっけ」

「それは私の担当じゃないので。実は、それぞれの担当が決まってるんです」
「そうなんですね。まとめてやっちゃったほうが早そうですけど」

「首藤さんくらい仕事が出来る人なら、そうかもしれませんね」

 笑顔は嘘になっていないだろうか。有紗は頭の中でそればかり考えている。

「いえいえ、復帰後で全然仕事の勘が戻らなくって。とりあえずこれ、宇美さんに提出して来ちゃいますね」

 勘が戻らなくてこれなら、一週間後にはどうなってしまのだろう。こんなに出来る人に対して、まるっきり力不足だ。首藤は宇美と、早くも打ち解けた様子で話をしている。
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