Adagio
「綿貫さんの話がわかりやすかったんですよ。私に欠けているものに気付けたような気がする。私も恩恵を受けてばかりじゃ駄目ですね。
人事部のみなさんを見習って、人に対しての思いやりを、仕事に活かせるようになりたいです。綿貫さんが私の担当でほんとうによかった」
掛け値なしの言葉というのは、こんなにも真っ直ぐ胸に届くのだ。有紗は実感して、何が大切なのかを胸に留めた。急に、封印していたはずの涙が、瞳の表面を膜のように覆う。
「わたし……、首藤さんごめんなさい」
「え、なになに、どうしたの綿貫さんっ」
それに慌てたのか首藤は、勢いよく席を立ち上がった。ひっくり返りそうになった椅子を、目もくれずに後ろ手でキャッチする。
器用さはこんなところにまで見られるが、もうそれを『この人は別世界の人間だから』と線引きすることはなかった。
人事部のみなさんを見習って、人に対しての思いやりを、仕事に活かせるようになりたいです。綿貫さんが私の担当でほんとうによかった」
掛け値なしの言葉というのは、こんなにも真っ直ぐ胸に届くのだ。有紗は実感して、何が大切なのかを胸に留めた。急に、封印していたはずの涙が、瞳の表面を膜のように覆う。
「わたし……、首藤さんごめんなさい」
「え、なになに、どうしたの綿貫さんっ」
それに慌てたのか首藤は、勢いよく席を立ち上がった。ひっくり返りそうになった椅子を、目もくれずに後ろ手でキャッチする。
器用さはこんなところにまで見られるが、もうそれを『この人は別世界の人間だから』と線引きすることはなかった。