Adagio
「そっか、そうですよね。突然すみません!」
足を止め、坂巻はポケットからスマートフォンを取り出して予定を確認しようとする。有紗はそれを止めようと、明るい声を絞り出した。
「あ、そうだ。私ひとりで行ってみて、サブレが持ち帰りできるかどうか訊いてみます! そしたら坂巻さんわざわざ青山まで来る必要ないですし。ごめんなさい、何も考えずにその場の勢いで突然誘ったりして」
「でも、そんなわざわざ――」
「すみませんでした。気を遣わせるようなこと、言ってしまって」
坂巻の言葉を遮って、有紗は深く頭を下げた。
真っ直ぐ気持ちを伝えること。それはとても大切なことだが、そうしたからといって必ず受け入れてもらえるとは限らない。
首藤との一件のように、気持ちを分かり合えることがある半面、人を傷つけることもあれば、自分が傷つくことだってある。
足を止め、坂巻はポケットからスマートフォンを取り出して予定を確認しようとする。有紗はそれを止めようと、明るい声を絞り出した。
「あ、そうだ。私ひとりで行ってみて、サブレが持ち帰りできるかどうか訊いてみます! そしたら坂巻さんわざわざ青山まで来る必要ないですし。ごめんなさい、何も考えずにその場の勢いで突然誘ったりして」
「でも、そんなわざわざ――」
「すみませんでした。気を遣わせるようなこと、言ってしまって」
坂巻の言葉を遮って、有紗は深く頭を下げた。
真っ直ぐ気持ちを伝えること。それはとても大切なことだが、そうしたからといって必ず受け入れてもらえるとは限らない。
首藤との一件のように、気持ちを分かり合えることがある半面、人を傷つけることもあれば、自分が傷つくことだってある。