Adagio
「あ! システム開発で来てくださっている方ですか」
 冷蔵庫、というキーワードで、有紗は現実に引き戻された。

「はい。神長と申します」

(この人が、宇美さんが言ってた……)
 なるほど、と何を話したわけでもないというのに納得してしまった。

「わたし、人事課の綿貫有紗です。すみません、変な反応して。来るのがいつも坂巻さんだから、今日も坂巻さんかなって思ってて。忙しいのに全然関係ないお仕事を頼んでしまってごめんなさい」

 これ以上顔を直視することが出来ずに、有紗は深々と頭を下げた。



「いやあ、あの冷蔵庫の人、昨日人事部に来たときもみんなの注目の的でしたけど、若いのに貫禄っていうか、風格ありますよね」

「私、何回か目が合ったんだけど、その度にどきっとした。一目惚れとかそういう次元じゃなくて、なんだろう」
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