Adagio
「実は俺もそうだった。目が合うと全部読まれてしまうような恐怖というか。坂巻さんも筋道立てて話すのが上手いけど、あの人はさらにこっちが疑問に思うであろうことを先読みして、話を引っ張り出す力があるよな。空気を読むっていう言葉の本当の意味を、あらためて考えさせられたよ」
「営業向きに見えるのに、本職はエンジニアっていうのがもったいないよね。私だったら絶対に表に出る仕事をさせるな」
「でも言葉に力があるから、人をひとつの方向に向かせるのが上手いんじゃないかな。裏方にも向いてる気がする」
自席に戻りながら、社員たちは口々に感想を述べた。会議明け、新システムの話よりも人の話で盛り上がってしまうのは人事部らしくもあったが、何か言わずにはいられないほど神長の印象は鮮烈だったようだ。
宇美は口元に軽い笑みを浮かべながら部下たちを眺めていたが、やがて口を開いた。
「もし彼が中途で面接に来たとして、採用しないかもしれないっていう人、挙手」
「営業向きに見えるのに、本職はエンジニアっていうのがもったいないよね。私だったら絶対に表に出る仕事をさせるな」
「でも言葉に力があるから、人をひとつの方向に向かせるのが上手いんじゃないかな。裏方にも向いてる気がする」
自席に戻りながら、社員たちは口々に感想を述べた。会議明け、新システムの話よりも人の話で盛り上がってしまうのは人事部らしくもあったが、何か言わずにはいられないほど神長の印象は鮮烈だったようだ。
宇美は口元に軽い笑みを浮かべながら部下たちを眺めていたが、やがて口を開いた。
「もし彼が中途で面接に来たとして、採用しないかもしれないっていう人、挙手」