Adagio
突然投げかけられた問いに、社員たちは互いに顔を見合わせている。やはりあの宿題はまだ有効だったのだと、有紗はあらためて思った。悩みながら挙手したのは、たった一人だった。

「彼がもし、うちの会社じゃないと出来ない何かをやりたいっていうんなら、百パーセント採用します。でももしそうじゃなかったら――」

「はーい、理由はストップ。ごめんね、これ綿貫に出してる宿題だから、わかった人から順次、私のところに言いに来て。みんなもいい機会だから考えてみてほしい」

 宇美の一声で、有紗だけの宿題が人事部全体の宿題となった。一度答えを言いかけた社員は、早速宇美の席に向かった。話をする表情から、宇美の考える答えに行き着いたのだと想像がつく。

「なんだか、随分とんでもない宿題出されてたんですね」
 席に戻るなり、首藤がつぶやいた。
< 81 / 131 >

この作品をシェア

pagetop