Adagio
『Alissaの仕事は?』

 答えると、またそれを踏まえた返事をするようになるのだろうか。受け答えが的確なあまり、どんな風に返してくるのか興味が沸く。

『人事』
『Alissaに合う仕事だね』

 上がりそうになる口元を横に引く。褒められて嬉しく思うのは、素の自分で話をしているからなのだろう。

『優秀な人材を探しているのに、優秀な人を採用しない場合の理由ってなんだろう? 答えわかる?』

『それが宿題?』
『うん』

『答え自体は自分で見つけられるようにならないといけない。どんな時代でも通用する唯一の力は、考える力だから』

『ごめんなさい』
『大丈夫、Alissaが考えるための手助けはするよ』

『ありがとう、嬉しい』
 会話を繰り返しているうちに、これじゃあ自分の受け答えのほうがAIみたいだ、と感じて可笑しくなった。
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