かんしゃ の きもち

「じゃあ、みんなの前途と今日のこの日を祝して!」

 幹事の玲子ちゃんの音頭に合わせて、乾杯の声と華やかなグラスの音があちこちから上がった。
 駅前の和モダン居酒屋の大広間には、結構な人数がすし詰めになっていて、私はちょっと引き気味だ。

「それにしてもびっくりしたよー、ねー?」
「うん、ほんと。洋子が参加してくれるなんてね」
「あはははは……」

 さっきから、何気にこのやり取りが続いている。
 夜の集いに私が参加するなんて初めての事だから、私のことを覚えている人には、珍しく感じるのかも。

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