かんしゃ の きもち

「最初はさー、マキちゃん。山本に絡まれても無抵抗な洋子ちゃんに、苛ついてたみたいでー」

 ああ、やっぱりそうだったんだ。
 何となくそれは、彼女の醸し出す空気から伝わってきていた。

 あの頃の私は、あまりに無力……じゃなくて、無気力すぎた。生きる力も考える力も無くて、唯一できたのは、ひたすら黙って現状をやり過ごすことだけ。

「でも、あまりにあいつらのやり方がえげつないからさー、だんだん洋子ちゃん云々飛び越えて、単純に腹が立ってきたみたいでー。特に一番しつこく絡む山本が許せなくなってねー。山本を見張ってるうちにー」

 由利ちゃんが、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべた。

「実はヤツが、報われない恋に四苦八苦してる事に気がついちゃってさー。あいつ、めちゃくちゃ可哀想だなって思ったとたんにストンって落ちちゃったー、って感じみたいなの」
「……そっか」

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