どちらの手のひら
彼との一番古い記憶がどれなのか…
今の私には、よくわからない。
ただ、いつも彼は私のそばにいて、つまづけば手を差し伸べられ、涙すれば、その涙をぬぐってくれた。
振り返れば、こちらを見つめていて、その瞳は決して優しいだけではなく、時に怒りを含み、時に熱を孕み、時に切なく揺れていた。
ただ、この男(ひと)には私がすべてで、私はこの男のものなんだ。って、ずっと感じていた。
私が保育園のとき、高校生の尚弥は私と、自分の弟の郁弥の二人を保育園のお迎えに来ていた。毎日。お互いの忙しい両親のかわりに…
普通であれば、青春真っ只中の男子高校生が毎日6時には保育園に…
すでに、イケメンであった尚弥に保育園の先生たちも色めき立ち、率先して対応しようとしているのが、子ども心によくわかった。
小学校に上がってからは、学童保育に…
でも、その時から私の中には、尚弥は私以外の誰にも興味がないことを知っていた気がする。
今の私には、よくわからない。
ただ、いつも彼は私のそばにいて、つまづけば手を差し伸べられ、涙すれば、その涙をぬぐってくれた。
振り返れば、こちらを見つめていて、その瞳は決して優しいだけではなく、時に怒りを含み、時に熱を孕み、時に切なく揺れていた。
ただ、この男(ひと)には私がすべてで、私はこの男のものなんだ。って、ずっと感じていた。
私が保育園のとき、高校生の尚弥は私と、自分の弟の郁弥の二人を保育園のお迎えに来ていた。毎日。お互いの忙しい両親のかわりに…
普通であれば、青春真っ只中の男子高校生が毎日6時には保育園に…
すでに、イケメンであった尚弥に保育園の先生たちも色めき立ち、率先して対応しようとしているのが、子ども心によくわかった。
小学校に上がってからは、学童保育に…
でも、その時から私の中には、尚弥は私以外の誰にも興味がないことを知っていた気がする。