どちらの手のひら
小学校6年のときに母、恭子が妊娠した。

「お母さんのお腹の中に、赤ちゃんがいるのよ。」と、嬉しそうに伝えられたがあまりピンとこなかった。
母は、産婦人科で知り合った予定日が一日違いの女性と仲良くなり、お互いの家を行き来するようになった。
このとき、母、恭子は34歳。仲良くなった亜矢ちゃん(沢田亜矢)は26歳、母は年上ということもあり、妹のように亜矢ちゃんを可愛がっていた。

月に2回程、休日にランチや買い物に行くときに俺もかりだされた。母がキツめの美人なのに対し、亜矢ちゃんは柔らかく守ってあげたくなるタイプ。
思えば、俺の初恋は亜矢ちゃんだったかもしれない。
でも、それから約一年後、俺は運命の出会いをすることとなる。
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