極上御曹司の愛妻に永久指名されました
店員を呼んでレジメンタルの紺とエンジの二本を買った。
一日でこんなに散財したのは初めてだ。旅行が終わったら節約しよう。
店を出て小春達を探してキョロキョロしていたら、十五歳くらいの金髪の可愛い女の子に道を聞かれた。
「ルーブル美術館ってどこ?」
「え~、ルーブル美術館は確か……あっち」
右側を指差すが、女の子はキョトンとした顔をする。
仕方なくバッグからガイドブックを出して、シャンゼリゼ通り周辺の地図を見せた。
「今ここで、ルーブルはここ」
指でさして説明していたら、後ろから風間の声がする。
「真野!」
その声に反応して振り向けば、彼がガシッと私の腕を掴んで女の子から遠ざけた。
「ちょっ……風間、女の子に道を教えてたんだけど」
風間の行動に呆気に取られながらその顔をじっと見ると、彼は何故か少し怖い顔で怒る。
「馬鹿!あれはスリだ。財布すられるところだったぞ」
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