極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「え?嘘?」
チラリと女の子に目を向ければ、悔しそうに顔を歪めていた。
……あんな無邪気そうな女の子がスリ。
カルチャーショックを受け、顔が強張る。
「少しは考えろ。ブランドのロゴ入りの紙袋持ったいかにも旅行者ってやつに道を聞くわけない」
風間の言葉になるほど……と納得してしまう。
私の認識が甘かった。
子供でも警戒しなくちゃいけないんだ。
「……ごめんなさい」
しゅんとして謝れば、彼に手を引かれた。
「小春と尊が向こうのカフェで待ってる」
「あの……もう大丈夫だから、手離して」
風間の手が気になってそうお願いするが、彼は離してくれない。
「駄目だ。離すとまたはぐれそうだからな。お前はやたらウロチョロするから、小春以上に危なっかしいんだよ」
別に風間にボディーガードを頼んだ覚えはない……と言い返そうとしたがやめた。
< 14 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop