極上御曹司の愛妻に永久指名されました
うっすら目を開ければ、数メートル先のソファに姉と黒沢さんが座って話をしている。
姉がボスで黒沢さんが子分。
そんな関係に見えた。
「私がなんであんたに協力してるかわかってる?」
苛立たしげに黒沢さんに当たる姉。
そんな姉の質問に彼は苦笑いした。
「いや」
「私はね、自分よりも妹が幸せになるのが許せないの」
姉の発言にチクンと胸が痛む。
嫌われているのはわかっていたけど、実際に彼女の口から聞くと辛い。
「相変わらず我がままなお姫さまだな。もっと妹に優しくしろよ」
黒沢さんはいささか呆れ顔。
「だってああいう一生懸命やってますって子、ムカつくの」
姉が楽しげに笑う。
悲しかった。
きっと私はなにをやっても姉に好かれることはないんだろうな。
そのまま自己憐憫に浸りそうになったが、ふと我に返り、今の状況を思い出した。
私……いつに間に寝てた?
それに……ここはどこ?
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