極上御曹司の愛妻に永久指名されました
チラリと腕時計に目をやれば、時刻は午後十一時四十五分。
「うわ〜、予想はしていたけど、すごい人だね。ぎゃっ!」
人波に揉まれて転びそうになる紫の腕をしっかりと掴んで俺の方に引き戻す。
「危ない!あまりキョロキョロしてると、人の波に持っていかれるぞ」
そう注意すると、彼女は苦笑いしながら謝った。
「ごめん。これはお参りするまでにどんだけ時間がかかるかわからないね」
予想はしていたが周りはどこも人、人、人。
寺の境内は朝の満員電車状態。
いつもは多くの外国人観光客で賑わうこの寺も、初詣とあって日本人が圧倒的に多い。
境内には露店が立ち並び、祭りのように賑わっている。
基本的に普段人混みは避けるが、紫がどうしてもここで初詣をしたいと言うので風間家の者に送迎を頼んで寺の近くで降ろしてもらった。
「まあ、いい経験だな」
テレビでしか観たことのない光景は俺にとってはある意味新鮮ではあるし、彼女がいればこの混雑も苦には感じない。
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