極上御曹司の愛妻に永久指名されました
かれこれ三十分待っているが、五十メートルも前に進んでいない。
「うん、今のところ大丈夫。幸か不幸かこの人の壁で寒さが和らいでる」
どこか楽しげに言う彼女と目を合わせて微笑み合う。
「確かに」
途中参道にある露店で甘酒を買って冷えた身体をあっためたら、不意に彼女が少し緊張した面持ちで聞いてきた。
「ねえ、そういえば、恭一っていつ私のことを好きになったの?」
きっとずっと知りたくて、聞くタイミングを計っていたに違いない。
「小春に紹介された時から興味は持ってた」
正直に答えれば、彼女は意外だというような顔をする。
「え?そうだったの?」
「紫が俺のこと苦手そうだったから、どうしてかって気になったんだ」
「ああ。前にも謝ったけど、あの時は本当にごめんなさい!でも、今は大好きだからね!」
必死にそう訴える彼女が愛おしい。
「その告白、毎日聞きたいな」
優しく微笑んで、紫の手を握る。
すると、除夜の鐘がゴーンと鳴った。
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