極上御曹司の愛妻に永久指名されました
黒沢さんの姿が見えなくなっても、彼がここに現れたことがショックでしばらく放心していた。
「……真野?真野?大丈夫か?」
風間に声をかけられ、我に返り彼からパッと離れた。
「あっ、ごめん。とんでもない嘘ついちゃって」
身内に話してもまともに取り合ってくれず、藁にもすがる思いだったのだ。
「嘘のことはいい。あの男、ストーカーか?」
風間は心配そうに私を見る。
「……ストーカーではないの。ちょっとあの人苦手なだけ」
つい黒沢さんから逃げたくて口から出まかせを言ったけど、関係ない風間を巻き込んじゃないけない。
これでこの話を終わらせたかったが、小春が追及してくる。
「紫、あの人なの?お姉さんの元彼って」
うわ~、小春、このタイミングで聞かないで〜。
「それは……その……」
何て答えていいか言葉に詰まっていたら、リムジンが目の前で停車した。
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