極上御曹司の愛妻に永久指名されました
「話は車の中で」
風間にそう言われてリムジンに乗り込む。
私の横に小春が座り、私と向き合う形で風間が座り、その隣に長谷川が座った。
ついさっきまでは美味しい飲茶を食べて喜んでいたのに、その幸せな気分が吹き飛んでしまった。
じっと自分の手を見て黙っていたら、風間の視線を感じた。
「それで、あの男は誰なんだ?」
一緒に旅行はしたけど、風間は友人ではない。
「……なんでもないの」
笑顔を作ってそう返したが、彼は諦めてくれない。
「俺に答える義務があると思うが」
その冷淡な口調に彼の苛立ちを感じた。
空気がピリピリして息苦しい。
そんな空気を長谷川が変えた。
「恭一、もっとソフトにね。紫ちゃんも知り合いだとしても、あの男放っておくのは危険なんじゃないかな?」
その優しい声音にホッとしてついガードが緩んだ。
「……姉の元彼で……黒沢不動産の御曹司なの」
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