【短】碧くんしか見てないよ
「…紺野、さん?」
はっと我に返るわたし。
「あっ、えっと…びっくり、して…」
碧くんが、信じてくれるなんて。
わたしが来て、うれしいって。
わたしのこと、知りたいって。
「っわたしも碧くんのこと、たくさん知りた──痛…っ」
勢い余って一歩前に出ると、先ほどくじいた右足首に、ひどい痛みが走った。
「大丈夫?」
「う、うん。さっき、くじいて。大丈夫」
碧くんのことが頭いっぱいで、さっきから痛いことなんて、忘れてた。
「…」
「あっ、碧くん、そろそろ練習戻らないとだめだよね…」
つぶやいていると、わたしの真ん前に、背中を向けた碧くんがしゃがみこんだ。
「…え?」
「乗って」
「…ええっ?」
乗って!?
つまり…。おんぶってこと!?
「歩けるから大丈夫だよ!?」
「俺のせいだし」
たしかにここまでかけ上がったのは碧くんの思惑だけど、勝手にくじいたのはわたしだ。
「ほんとに大丈夫だから…!」
「…俺がチビだから、持ち上がらないと思ってる?」
「そうじゃなくて!わたし重いし申し訳な──ひゃあっ」
気づいたら、宙にういてて。碧くんの、背中にいた。